豪ドル/円相場は、1月7日に一時92.84円まで値位置を切り上げた後、91円台前半まで上げ幅を縮小する展開になっている。1)年末に富裕層向け増税を巡る米財政協議に進展が見られたこと、2)中国の景況感・製造業指数に改善が見られること、3)鉄鉱石価格が15ヶ月ぶりの高値を更新していることなどが、豪ドル相場を強力にサポートしている。ただ、豪ドル高・円安に対する短期的な過熱感の影響もあって、足元ではやや調整圧力が強くなっている。
米財政協議の進展を受けて、世界経済に対する信認が回復していることが、素直に豪ドル相場も押し上げている。まだ米債務上限引き上げ問題や、欧州債務問題、中東・北アフリカの地政学的リスクなどの火種は残されているが、少なくとも当面の経済環境が改善していることは間違いない。特に、中国の景気回復傾向が各種経済指標で強く示唆される中、中国経済との連動性が強い豪ドル相場は買われ易い地合にある。短期的なポジション調整が進むリスクまでは否定できないが、豪ドル高に歯止めを掛けるためのハードルは極めて高くなっている。
一方、11月の豪貿易赤字は26.4億豪ドルとなり、市場予測23億豪ドルを上回った。ただ、最近の中国経済の回復傾向を考慮すれば、今後は徐々に改善圧力が強まろう。17日発表の雇用統計が悪化すると、2月または3月に追加利下げの可能性が高まり、一時的に豪ドルに調整売りが膨らむ可能性はある。ただ、日本銀行がそれ以上に積極的な緩和政策を展開するとの期待感が強まる中、豪ドル買い・円売り基調にまで修正を迫るのは難しいだろう。
今後1週間の予想レンジは、89.50~93.50円。